ほつれたスカーフを直したくて、でもミシンを買うほどでもないな、と思っていた時期があった。近所のセリアをぶらっとしていたら、ハンドクラフトのコーナーに見慣れないパッケージが並んでいた。「ハンディミシン」。110円。
買った。深く考えずに買った。
結論を先に言うと、「ミシン」だと思って使うと絶対に失敗する。でも何かを「仮止め」したり「応急処置」したりする道具だと思えば、110円の仕事はする。そのあいだに微妙なグラデーションがあって、そこが面白かった。
セリアで見つけた瞬間のこと

日曜の昼過ぎ、特に目的もなくセリアに入った。文具とハンドクラフトが混在しているコーナーの端、ラックの下の方に細長い箱がいくつか立てかけてあった。正直、最初は何の商品か分からなかった。
パッケージの写真に布を挟んで持っている手が写っていて、「あ、ミシンか」と気づいた感じ。単4電池2本が別途必要、と小さく書いてある。電池は家にあったから、実質110円で試せる。
迷った時間は30秒もなかった。
開封して気づいたこと

家に帰って箱を開けたら、プラスチック製の本体と糸巻きと説明書が出てきた。本体の長さはだいたい15センチくらい。鉛筆立てに立てられるサイズ感だ。軽い。持った瞬間に「あ、これは軽すぎる」と思った。
説明書は日本語だったが、図が少なくて読みにくかった。糸のセットに5分以上かかった。どこにどう通すのか、何度か説明書と本体を交互に見ながらやってようやくわかった。指が太い人はもっと手間取るかもしれない。
仕組みとしてはチェーンステッチという方式で、上糸と下糸を絡ませる普通のミシンとは違う。一本の糸でループをつなげていく。だから——これは後で痛感したのだが——縫い終わりをちゃんと固定しないと、糸を引っ張った瞬間に全部ほどける。
最初に縫った15分で起きたこと

試したのは手元にあった薄手のコットン、ほつれかけたスカーフの端。
ハンディミシンは布を本体の先端で挟みながら動かして縫い進める。感覚としては「本体を布の上で滑らせる」に近い。これがすぐにはうまくいかなかった。
最初の5センチは、縫い目というより引っかき傷みたいな見た目になった。糸がちゃんとかかっていない部分も混じっていた。何度かやり直して、「ゆっくり動かす、布をしっかり張る」というのをつかんできたのが10分過ぎたあたり。コツというほど大げさなものでもないが、最初の数回はほぼ練習になる。
うまくいったこと
薄手のコットンで、3〜4センチの直線縫いなら安定してきた。縫い終わりの糸をライターで少し炙って固定するひと手間を加えたら、見た目もそれなりになった。
「ほつれ止めができればいい」という用途なら、これで十分だと思う。完璧じゃないけど、実用には耐える。
旅行中に使ったこともある。キャリーバッグのポケットの縫い目がほつれて、ホテルの部屋で補修した。薄いナイロン生地で、布が重ならない場所だったからうまくいった。あの時は「持ってきてよかった」と素直に思った。
ならなかったこと

デニムは完全に無理だった。本体を押し当てても布の抵抗に負けて針が進まない。無理に力をかけたらモーターがキーキー言い始めたのですぐやめた。
チェーンステッチの問題は耐久性にも出る。縫い終わりを固定し忘れて糸を引いたら、縫い目がシューッと全部消えた。初めてやった時は「え」と声が出た。笑えるようになったのは3回目くらいから。対策は糸の端を結ぶか接着剤で固めるか、どちらかしかない。
電池の話

単4電池2本で3〜4回の作業(各5〜10センチくらい)をこなしたあたりから、動きが鈍くなってきた。電池の減りは思ったより早い。100均の電池と組み合わせると余計に早く感じるかもしれない——実際そうだった。
本体のプラスチックは、まあ110円の感触がする。ガタついてはいないが、鞄の底に無造作に放り込むような使い方は避けた方がいい。
セリアじゃなきゃいけないか

別にそんなことはない。ダイソーやキャンドゥにも似たようなハンディミシンが並んでいることがある。価格帯も見た目も大差なく、中身もおそらく似たようなものだ。
私がセリアで買ったのは、たまたまそこにあったから。それだけ。
引き出しにまだある
使い終わってから、このミシンは引き出しの片隅に入ったまま。捨てていない。「また使うかも」という気持ちが残っているから。
日常的にミシンを使う習慣はできなかった。むしろこれを使ってみて、ちゃんとしたミシンが欲しくなった。100均のハンディミシンが入口になって、その先に本物への興味が生まれる。そういう人、たぶん私だけじゃないと思う。
100円ショップのミシンのグッズのコードは共通の代替品をAmazonと楽天で探す

ハンディミシンで物足りなくなってきたら、次のステップとして検討できる電動ミシンを3つまとめた。いずれもAmazonまたは楽天でオンライン購入できる。
比較表
| 商品名 | 向いている用途 | Amazon | 楽天 |
|---|---|---|---|
| ミシン 初心者向け 電動ミシン 12種類の縫い目 | 縫い目のバリエーションを試したい入門者 | Amazon | 楽天 |
| 2026年新モデル アックスヤマザキ MM-21 +plusモデル 子育てにちょうど | 家庭での日常使い・子どもまわりの縫い物 | Amazon | 楽天 |
| 電動ミシン コンパクト家庭用ミシンセット 初心者 | 省スペースで一式そろえたい人 | Amazon | 楽天 |
ミシン 初心者向け 電動ミシン 12種類の縫い目
12種類の縫い目が使えるので、直線縫いだけでなくジグザグやボタンホールなど、少しずつ縫い方の幅を広げたい人に向いている。ハンディミシンから乗り換える最初の一台として探している場合、選択肢に入りやすいタイプだ。
2026年新モデル アックスヤマザキ MM-21 +plusモデル 子育てにちょうど
アックスヤマザキは国内メーカーで、このMM-21 plusモデルは2026年の新モデルにあたる。子どもの入園・入学準備や、ちょっとした衣類の補修など、家庭で継続的に使う場面を想定した設計になっている。日常の中でミシンを道具として定着させたい人に向いている。
電動ミシン コンパクト家庭用ミシンセット 初心者
コンパクトという名の通り、置き場所を取らずに使えるタイプ。セット販売のものが多く、糸や付属品をあらためて買い揃える手間が省ける。机の上に出しっぱなしにするのが難しい住環境でも使いやすい。
正直なところ
110円で買ったことを後悔はしていない。ただ「ミシンを買った」というよりも「ミシン的な何かを試した」という体験だった。
縫い物をちゃんとやりたい人は、最初から予算を出してまともなものを買った方がいい。これでは無理だから。でも「そもそも自分が縫い物に向いているかもわからない」という段階なら、110円で感触を確かめる選択肢はある。
私にとってこれは道具というより、きっかけだった。そう思えば、十分だった。